サービス提供者様の今回のシステム開発への想い
我々の自動運転バスは「横に動くエレベータ」というコンセプトで、狭いエリアを高頻度に低速で循環することで住民の皆さんの利便性を高めるモビリティとして開発を進めています。
一方で境町のように広いエリアに交通空白地が存在する場合、広大なエリア全てを決められた時間で走ることは、コストや効率性の観点から現実的ではありません。
そこで必要なときだけ気軽に呼んで頂けるタクシーのようなサービスを作ろうと考えました。
世の中に「オンデマンド配車」のアプリケーションは多くありましたが、9,200万人(※LINE社調べ LINEアプリ 月間アクティブユーザー 2022年6月末時点)のユーザーをかかえるLINEプラットフォーム上で開発をすることに決めました。スマートフォンに馴染みのない高齢者にとってもLINEが使えるようになれば、バスを予約するだけでなく家族や友達とも気軽に連絡を取ることができます。新しいアプリの使い方を学んでもらうのでなく、普段使っているLINEから自動運転バスを呼び出すことができれば、気軽に外出できるようになると考えています。LINE公式アカウントを「さかいアルマ」というキャラクターの名前にしたのもそのためです。まるで友だちと会話するように自動運転バスを呼べるようになってほしいと思っています。
LINEとの連携
普段利用するLINE公式アカウントで認証できる気軽さが導入の決め手
LINEアプリ自体の普及率が高いので、別途専用にアプリを作るよりもユーザ側の導入コストが低いことが理由です。
認証機能についても同様で、LINEを利用しているユーザであれば、普段利用しているアカウントから、我々のLINE公式アカウントに友だち追加して頂くことで認証ができるので、その点についてもハードルを下げることができました。また開発者目線でも、LIFFやMessaging APIなどのAPIライブラリ関連が充実していることや、LINE Developers コンソールの使いやすさ・機能の充実している点なども、導入のきっかけになりました。
自動運転バスの運用開始決定。遠隔監視システムの価値の明確化を目指す
自動運転バスの予約システムは、令和4年3月に茨城県境町にて実証実験を行いました。
4日間で76人の被験者に予約と乗車を体験いただき、システムや運用の改善項目を洗い出しました。被験者からは「早く日常的に使いたい」「夜の飲み会の送迎に使えそう」といったポジティブな意見を多くいただき、実運用を開始することが決まりました。
自動運転バスが定時運行だけでなく予約運行も可能になることで、両運行をシームレスに管理できる遠隔監視システム「Dispatcher(ディスパッチャー)」の価値が明確になり、自動運転バスの実用化を他の地域に横展開していく上で、強いアピールポイントになると考えています。
LINEからの予約がリアルタイムに反映され、利用者同士のブッキングを排除
LINE APIによってLINEからの予約が、Dispatcherの予約情報にリアルタイムに反映されるようになり、LINEから複数の方が予約しようとした際などにも、既に予約のある時間帯がすぐに反映されるようになりました。
将来的には、定時便の運行していない時間帯を、LINEからのオンデマンド予約ができるようにして有効活用することや、LINEからの予約時に顔情報を登録してもらい、乗車時の本人認証に利用することなどを予定しています。