アプリの開発期間を短縮するCNAPとは?
従来のアプリケーション開発においては、次のような課題がありました。
- 開発とインフラ運用部門が分かれており、リリースの度に変更作業の依頼が必要で、リリースに時間を要する
- 開発・実行環境、設計、ポリシーなどが統一されておらず、ガバナンスが確保されていない
- 作業が人依存で標準化されておらず、作業ミスのリスクがある
これらの課題は、DevOpsの考え方に従い、構築・運用の自動化、構成の標準化などによって解消できます。しかし、これらを満たす環境を自前で準備するには、学習コストが高い、技術蓄積に時間がかかる、頻繁なバージョンアップに追従し維持管理が必要であることから、非常に困難です。
クラウドネイティブ・アプリケーションプラットフォーム(以下、CNAP)は、ソフトバンクが実践するDevOpsノウハウを凝縮した標準化・自動化環境をプラットフォーム提供するサービスです。あらかじめ設計を標準化、構築プロセスを自動化したLow Code構成パッケージをご提供し、当社がパッケージを維持管理することで、従来の課題から解放され、お客さまは本来注力すべき開発業務に集中できます。
今回は、LINEのMessaging APIを活用したお問い合わせ管理システムの開発でのCNAP活用事例をご紹介します。
LINEとの連携
CNAP PoC事例:Messaging APIを活用したお問い合わせ管理システムの開発
CNAPのPoCを実施するにあたり、お客さまにとってわかりやすい事例を検討しました。
その中で、特にお客さまからのリクエストの多い、LINEを活用したお問い合わせ管理システムを開発することとしました。
LINEは月間アクティブユーザーが9,400万人(※LINE社調べ 2022年12月末時点) と、国内のコミュニケーションプラットフォームとして確固たる地位を築いております。法人のお客さまにおいてもエンドユーザーとの接点としてLINEを活用することで、より多くのエンドユーザーへのリーチと顧客満足度の向上が期待できます。
CNAPのリリース後、御社にとってどのような効果があったか?
CNAPは2022年6月にサービス提供を開始いたしました。
既に多くのお客さまにご利用・ご検討いただいており、たくさんのポジティブなコメントをいただいております。今回ご紹介するLINEのMessaging API を活用したお問い合わせ管理システムの開発においても、CNAPを採用することで、複雑なインフラ基盤を抽象化された構成ファイルを用いて定義できるようになり、インフラ構築期間を大幅に短縮することができました。また、アプリケーションの開発者自身がセルフサービスでリリース・監視・運用できる構成になっていることから、リリースの高速化にも貢献しています。
LINEのMessaging APIを活用したシステムデータの利活用と個人情報保護の取り組み
LINEのMessaging API によって取得したユーザー情報やメッセージなどの各種データをデータベースに保存しています。
ユーザー情報は個人情報に該当することから、今回開発するシステムのデータベースに保持するのはユーザーIDのみとし、追加の情報はユーザーの許諾を得た上で都度Messaging API経由で取得するようにしています。この仕組みは扱う個人情報を最小限にするだけでなく、ユーザー情報の変更についての考慮も最小限にできます。
メッセージ情報に関しては、振り返りや分析のために保持しますが、一定期間で削除可能な設計により、コスト増大を回避することができるようになっています。システムで扱うシークレット情報については、CNAPによって自動的に構成されるシークレット・マネージャーにて管理されています。