LINE API Use Case

最寄りの避難場所がLINEですぐわかる「デジ町防災LINE」

システムの解説

「デジ町防災LINE」のサービスを支える技術

インフラには Google Cloud Platform(以降、GCP)を採用しています。
主な業務データは kintone に保存されており、GCP は API 連携やデータ取得処理の負荷分散を目的に併用する構成となっています。

フロントエンドは Nuxt.js をベースとしたLIFFを採用しており、LINE公式アカウントとの連携により、ユーザーの属性やLINE IDに応じた機能制御を実現しています。
デジ町防災LINEでは、現在地を起点に3km圏内の避難場所を、近い順にリスト表示する避難場所検索機能を提供しており、Google Maps APIとLIFFの位置情報取得を組み合わせることで、災害時でも即時かつ直感的な避難行動支援ができる構成としています。

高齢者やITに不慣れな住民でも使いやすいシンプルなUIと、アプリ不要で利用できるLINE連携により、導入負担を抑えつつ、確実な防災アクション支援を可能にしています。

リリース後の評判

高知県の「よさこい祭り」では、宮崎県日向灘地震(2024/8/8)の翌日、南海トラフ巨大地震を想定した広域避難対策として「デジ町防災LINE」が緊急採用されました。
よさこい祭振興会・県、市など関係者が連携し、LINEで最寄りの避難場所や避難経路を確認できる体制を緊急整備。
地元テレビ局などにもその様子が報道され、「避難誘導や安否確認手段としても有効」「遠方からの参加者や観光客にも分かりやすいツール」として評価されました。
さらに、東日本大震災の被災地である岩手県釜石市で開催された「防災アプリとお天気アプリの使い方を学ぶ勉強会」では、Yahoo!防災アプリやYahoo!天気と並び、「デジ町防災LINE」が教材として採用されました。
この勉強会は、高齢者やスマートフォンに不慣れな住民に向けて、災害時に役立つアプリの基本的な使い方を学ぶ機会として開催され、「避難場所の場所が地図で確認できて安心」「災害時にすぐ使える点が良い」といった参加者の声があり、直感的で親しみやすい防災ツールとしての実用性が評価されています。

今後の展望

今後は、防災LINEを「住民一人ひとりが災害時に“報せる力”を持つツール」として進化させていきます。
その一環として、災害発生時に、住民が自ら被害状況(損傷やライフライン被害など)を位置情報とともに報告できる「損傷報告機能」の導入を検討しています。
LIFFを通じて、現在地と写真・テキストなどの情報を送信し、地域全体の被災状況を把握・共有する仕組みを目指します。
また、既存の機能を自治体と連携して災害訓練などに活用し、「LINEを使った防災行動」が地域の日常に定着するよう取り組みを広げていく予定です。

LINE APIに対する要望

デジ町防災LINEでは、LIFFを通じて避難場所検索や安否発信、家族との安否確認などの機能を提供していますが、防災という“緊急時の利用”を前提とした設計だからこそ、以下のような機能拡張を強く期待しています。

① Messaging APIでの現在地情報の取得連携
現時点ではLIFF内での現在地取得しかできないため、Messaging API経由でユーザーの許可のもと位置情報を取得できる仕組みがあれば、より迅速な安否把握や避難支援につながると考えています。

② 通知APIの一斉送信性能の拡充
災害時には「地域のLINEユーザー全員に一斉通知」する必要がありますが、現在の配信制限(API経由の段階的配信)ではタイムラグが大きく、災害情報の“即時性”に課題があります。自治体連携による防災用途に限った優遇措置や緊急モードのような仕組みを希望します。

③ QRコード起点でのユーザー行動トラッキングの精度向上
デジ町防災LINEでは、町内会の掲示板や防災冊子などにQRコードを設置し、住民のアクセス導線を設けています。現在はLIFFパラメータでの識別に依存していますが、QRコード読み取りのイベントデータをWebhook等で取得できれば、より詳細な行動ログ分析や地域ごとの導線評価が可能になります。

これからLINE APIを活用される方に一言

LINE APIは、災害時の情報伝達や地域連携において、非常に有効なコミュニケーション基盤です。
とくにLINE公式アカウントとLIFFを組み合わせることで、アプリのインストール不要で誰でもすぐに使える“防災支援サービス”を構築できるのが大きな利点です。
ただし、防災という緊急性の高い領域では、「位置情報の取得制限」や「通知タイミングの制御」「端末依存の挙動」など、LINE特有の仕様を十分に理解した上で導線設計を行うことが重要です。
利用者の行動や状況を想定したUI設計とAPI活用の工夫を行うことで、災害時にも役立つ“本当に使える防災LINE”が実現できると私たちは考えています。

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