Vma plusのメタバースプラットフォームとは?
五十嵐 Vma plus株式会社様(以下、Vma plus)の事業内容について詳しく教えていただけますか?
津田 Vma plusは、簡単にアクセスできるブラウザベースのメタバースプラットフォームを提供しています。特別なVR機器を必要とせず、PCやスマートフォンのブラウザからすぐに利用できるという点が大きな特徴です。私たちは、2030年までに50億人にこのメタバース環境を届けることを目指しています。
五十嵐 それは大きな目標ですね。従来のメタバースというと、専用のデバイスが必要なイメージがありますが、VRゴーグルなしでアクセスできるというのは革新的です。どのような背景があってこの設計にしたのでしょうか?
津田 そうですね、これまでのメタバースは専用のデバイスが必要で、それが利用者にとってハードルとなっていました。特に、技術に不慣れな人にとっては「メタバースに参加したいけど、機器を揃えるのが面倒だ」という声が多かったんです。私たちは、誰でも気軽に参加できるメタバースを目指し、スマートフォンやPCのブラウザからアクセスできるようにしました。こうすることで、より多くの人にメタバース体験を提供できると考えています。
富士山花火プロジェクトで見えたLINEとメタバースの相乗効果
五十嵐 なるほど、使いやすさを追求した結果、デバイスに依存しないプラットフォームを開発したのですね。LINE公式アカウントでメタバースに入れる仕組みを開発されたとのことですが、メリットなど詳しく教えてください。
津田 はい、LINEとの連携は非常に重要なポイントです。LINEは日本国内で圧倒的な利用者数を誇っており、幅広い年齢層の方が日常的に使っているツールです。そこで私たちは、LINE公式アカウントとVma plusを連携させることで、より多くのユーザーに簡単にメタバースを体験してもらえる仕組みを作りました。具体的には、LINE公式アカウントのリッチメニューからワンクリックでメタバースにアクセスできるようになっています。ユーザーは新たなアプリをインストールする必要がなく、普段使っているLINEから簡単にメタバースへ参加できるんです。
五十嵐 それは非常に便利ですね。わざわざアプリをダウンロードしたり、複雑な手続きをする必要がないというのは、多くのユーザーにとって大きな利点だと思います。特に、メタバースにまだ慣れていない方にとって、アクセスのハードルが下がるのは大きいですね。
津田 まさにその通りです。メタバースを初めて体験する方にとって、難しい手順や技術的な障壁があると、どうしても参加をためらってしまいます。しかし、LINEのように普段使っているツールから直接アクセスできるとなると、心理的なハードルも低くなりますし、初めてのメタバース体験としては非常に優れた入口になります。
五十嵐 それにLINEは、企業とのコミュニケーションツールとしても非常に強力ですよね。公式アカウントを持つ企業にとって、メタバースを活用した新たなマーケティング手法が広がる可能性がありそうです。
津田 おっしゃる通りです。LINE公式アカウントを通じて、企業はメタバース内でのイベントやプロモーションを簡単に展開できるようになりました。例えば、新商品のお披露目会をメタバース内で開催したり、ファンミーティングをバーチャル空間で行ったりすることが可能です。また、LINE公式アカウントのリッチメニューからメタバースに移動する際に、ユーザーが興味を持ちそうなコンテンツや商品のリマインダーを送ることもできるので、購買意欲を高めるのにも効果的です。
五十嵐 最近では、IRISデータラボ株式会社様とのコラボレーションで富士山花火プロジェクトにも関わったと聞きましたが、具体的にどのような取り組みでしたか?
津田 はい、富士山花火プロジェクトでは、IRISデータラボ株式会社様が提供するLINEを活用したECツール「Atouch」を活用して、LINE公式アカウントからチケットを販売しました。ユーザーは、LINEのトーク画面からワンクリックでチケットを購入し、現地に見に行くことができますし、そのままメタバース上で他のアバターと一緒に花火大会のライブ映像を楽しむことができました。花火のドローン映像も流し、メタバースの中で富士山をバックにリアルタイムで花火を見られる体験を提供することができ、現地に行けない方々にも、バーチャル空間で臨場感あふれる体験を楽しんでもらうことができました。
五十嵐 LINE公式アカウントからのチケット販売というのは、ユーザーにとって非常に便利な仕組みですね。普段から使っているプラットフォームを通じて、シームレスにチケット購入やメタバースへのアクセスができるというのは、非常に大きな利点だと思います。
津田 おっしゃる通りです。LINE公式アカウントのリッチメニューからワンクリックでチケット購入やメタバースに参加できるというのは、ユーザーにとってとてもスムーズな体験だったと思います。
五十嵐 LINEとの連携は、マーケティング面でも非常に強力なツールになりますね。富士山花火に参加したユーザーからの反応はいかがでしたか?
津田 反応は非常に好評でしたね。特に遠方に住んでいる方や、身体的な理由で現地に行けない方から「バーチャル空間で富士山の花火大会を楽しめるのは素晴らしい」という声が多く寄せられました。また、メタバース内で花火を楽しんだ後、実際にリアルなイベントへの参加意欲が高まったという声もありました。このプロジェクトを通じて、メタバースがリアル体験の補完的な役割を果たすことができたと感じています。
五十嵐 それは面白いですね。メタバースが単なるバーチャル体験にとどまらず、リアルへの興味や関心を引き出すことができるというのは、新しい価値の創造に繋がっているように感じます。では、この花火大会の他にも何か同様のプロジェクトを行っていますか?
津田 はい、実は他にもいくつかのプロジェクトを進めております。例えば、メタバース上でのファンイベントや、商品プロモーションを兼ねた展示会などです。特に、ファンとの交流を軸にしたイベントでは、バーチャル空間でファン同士が交流できるため、ブランドや商品に対する愛着が深まる効果があります。これにより、購入意欲が高まり、結果としてコンバージョン率の向上が見込めるんです。
シームレスな購買体験を実現するLINE連携の仕組み
五十嵐 ファンと直接的に交流できる場を作るというのは、確かにブランドとのつながりを強化するのに効果的ですね。その結果として、実際に購入に繋がるというのは非常に興味深いです。メタバースとLINEの連携が企業にとっても、新しいマーケティングの可能性を提供しているわけですね。また、IRISデータラボ株式会社様が提供するAtouchを使った販売システムも、非常に効果的だったとお聞きしていますが、その辺りの詳しい仕組みを教えてください。
津田 Atouchは、LINE公式アカウントを活用して、商品やチケットの販売を支援するツールです。今回の富士山花火プロジェクトでも、LINE上でチケットの販売を行いましたが、その際にAtouchのリマインド機能が非常に有効でした。例えば、チケット購入を迷っているユーザーに対して、「まだチケットが残っていますよ」といったリマインダーをLINEで送ることで、購入を後押しすることができました。このリマインド機能により、カゴ落ちユーザーにアプローチし、最終的に購入コンバージョンを向上させることができたのです。
五十嵐 リマインド機能があることで、購買意欲を喚起し、最終的な購入に結びつけることができるわけですね。それに、普段使っているLINEからのリマインドであれば、ユーザーにとっても受け入れやすいですし、反応率も高そうです。
津田 その通りです。ユーザーは普段からLINEを使ってコミュニケーションを取っているので、そこでのリマインドは非常に自然で、抵抗感がありません。実際に、このリマインド機能を通じて、多くのユーザーがチケットを購入し、メタバースでのイベントに参加してくれました。LINEとの連携は、マーケティングや販売促進において、非常に効果的な手段であることを改めて実感しました。
新しい価値創造を目指すVma plusの次なる挑戦
五十嵐 LINEとメタバースの連携によって、ユーザー体験がさらに向上し、企業にとっても大きなメリットが生まれているのですね。今後もこのような取り組みを拡大していく予定でしょうか?
津田 はい、今後も引き続きIRISデータラボ株式会社様とLINEとの連携を強化していく予定です。特に、メタバース内での体験を通じて、リアルのイベントや商品のプロモーションを行う取り組みをさらに進めていきたいと考えています。また、メタバース内でのユーザー行動データを活用し、個別にカスタマイズされたリマインドを送ることで、さらに効果的なマーケティングができるようになると考えています。
五十嵐 ユーザー行動データを元に、パーソナライズされたリマインドができるというのは、非常に強力なマーケティング手法ですね。今後の展望として、他にも何か新しい取り組みを考えていることはありますか?
津田 今後の展望としては、地方創生の分野に力を入れていきたいと考えています。メタバースを活用して、地方の観光地や特産品を全国に広め、地方経済の活性化に寄与できるような取り組みを進めています。例えば、地方の名所をバーチャル空間で再現し、メタバース内で観光ツアーを実施することで、遠方の方々にもその魅力を体験してもらうことができます。
五十嵐 地方創生にメタバースを活用するというのは非常に興味深いですね。特に、観光業が厳しい状況にある中で、バーチャルツアーを通じて地方の魅力を発信できるというのは大きな可能性を感じます。また、実際にバーチャル体験を通じて、リアルな観光にもつながると良いですね。
津田 そうですね。バーチャル体験を通じて「実際に現地に行ってみたい」と思ってもらうことが理想です。バーチャル空間での事前体験が、リアルな観光への橋渡しになることができれば、地方観光業にとっても非常に有益な手段になると考えています。また、メタバース内での特産品の販売やプロモーションも進めていく予定です。バーチャル展示会を通じて、地方の特産品を全国にPRし、その場でオンライン購入できる仕組みを提供することも考えています。
五十嵐 メタバース内での特産品の販売というのも面白いですね。ユーザーがバーチャル空間で商品を見て、気に入ったらその場で購入できるというのは、リアルなショッピング体験に近いですね。それが地方の経済にもつながるのであれば、非常に効果的だと思います。
津田 はい、その通りです。特産品の販売をメタバース上で行うことで、地理的な制約を超えて、全国や海外の消費者にもアプローチできます。これにより、地方の名産品や文化を広く伝え、地域の活性化を支援することができると考えています。また、リアルイベントが難しい状況でも、メタバースを通じてバーチャルで商品やサービスを提供できるため、新しいビジネスの形としても注目されています。
五十嵐 確かに、リアルイベントが制限されている今、バーチャル空間を活用することで、従来のビジネスモデルを拡張できる可能性がありますね。メタバースの活用が、今後さらに広がると期待しています。津田さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。Vma plusの今後の展開を楽しみにしています。
津田 こちらこそ、ありがとうございました。今後もメタバースを通じて新しい価値を提供できるよう、努力してまいります。引き続き、よろしくお願いいたします。
(取材日: 2024年9月24日: 取材/五十嵐 政貴、森川可南子)