永松 江差マースは、自治体と企業がタッグを組んで実装化に向けた実証実験が行われていますが、3社の役割について教えていただけますか?
杉山 サツドラHDは、これまで北海道内を中心にドラッグストアビジネスを行ってきましたが、人口減少が進むエリアも多く、同じビジネスモデルを続けるだけでは将来的に事業の継続が難しくなると考えておりました。そのため、2019年から「地域コネクティッドビジネス」をビジョンとして掲げ、地域にコミットした事業展開をすることで、事業の発展と地域が抱える課題解決の両方に取り組んでいます。
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北海道では、住民の健康や自治体の経済面など様々な地域課題があり、特に移動に関する課題を抱えている地域が多く、江差町も例外ではありません。そこで、2020年に江差町と弊社は「“まちづくり”に関する包括連携協定」を結び、江差町の移動課題解決を目指すべく、今回の江差マースプロジェクトを立ち上げました。
サツドラHDは、江差町地域公共交通協議会の共創パートナーとして、参画企業との調整や地域住民への周知などを担当しています。
山田 駅探は江差町の住民の方が利用するデマンド交通配車予約システムの開発事業者として江差マースに携わっています。
2020年にサツドラHDさん含め5社間で「北海道地域でのMaaS事業展開に関わる業務提携」を行ったことがきっかけで、サツドラHDさんが江差町というフィールドで目指す収益循環型のMaaS事業モデルに共感し参画させていただくことになりました。以前からサービスを利用する住民の方々のシステム利用率に課題を感じていました。これは我々開発事業者側の問題で真に利用者の立場にたって設計・開発ができていなかったからだと思っております。
駅探は個人向けの経路検索サービスを提供しているということもあり、利用者の方々がより使いやすいUI設計や配車予約の目的地設定機能の開発を行っていますので我々の今までのノウハウを生かして利用者の皆様に使っていただけるUI設計をすることを突き詰めていければと思っております。
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渡邉 パーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)は、江差町公式LINEを活用したフロントエンドの開発に携わらせて頂きました。
本案件では、駅探さんにサツドラさんをお引き合わせ頂き、江差マースが目指す「移動と買い物を掛け合わせ事業収益を循環・還元させていくモデル」に共感し、参画をさせて頂きました。
パーソルP&Tも、類似する下記のような利益循環モデルの構築を目指しております。このモデルの背景には、私自身が研究し学んだ福井県永平寺町のMaaSプロジェクトがございます。当該エリアも公共交通の維持・確保に大変苦慮されており、その知見(解決の糸口)に触れる中で、持続的な移動手段の提供には、移動の目的になる生活サービスと掛け合わせ、その“周辺効果”によってエコシステム全体の採算性を高めることが肝要であると学びました。
こうした経緯もあり、江差マースでは、移動手段と移動目的を繋ぐ役割の一助を担っております。
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